ユーザーをただ働きさせて儲ける!? 悪質サイトの実態を探る

●ユーザーをただ働きさせて儲ける!? 悪質サイトの実態を探る
最近、スマートフォンなどを利用する人が増えているということもあり、ポイントサイトの市場が拡大しているようだ。しかし、そのポイントサイトの中には悪質サイトも存在し、そのサイトを利用したユーザーが被害を受けているという声も聞こえてくる。そこで、「モバトク通帳」などのポイントサイトを運営している企業、ファイブゲートの久城直氏に、悪質サイトの実態や安心サイトを見極める方法について話を聞いた。
○最初から高額ポイントを提供する悪質サイトの実態

--悪質サイトといわれるポイントサイトではどのようなことが起きていますか。

そもそもポイントサイトとは、インターネット上の様々な広告を利用することで、あるいはそのサイトを経由してショッピングをしたり、ゲームなどをダウンロードしたりすることでポイントがたまるサイトです。

これらの貯めたポイントを現金や電子マネーなどと交換する場合に、必要最低限のポイント数があり、例えば「モバトク通帳」の場合は1,000円分のポイントからと決められています。このポイント数は運営側が決めることができるのですが、中には1万円分、あるいは1万5,000円分のポイントがたまらないと現金などと交換できないサイトがあります。インターネット上で"悪質ポイントサイト"又は"悪質お小遣いサイト"などのワードで検索をすると、この類のサイトを多く確認することができますね。

--1万円分や1万5,000円分のポイントをためるのは大変ですね。

そうなんですが、すぐに1万円分や1万5000円分をためることができそうとユーザーに思わせるカラクリがあります。というのも、悪質サイトの多くは、新規に入会するだけで3,000円分、5,000円分、中には7,000円分のポイントを提供しています。入会だけで5,000円分のポイントがもらえれば、現金との交換までもうじきだと思ってしまうのでしょう。

○ユーザーを挫折に追い込むという手口

--実際はもうじきできはないのですか?

ポイントサイトは、広告主が出す広告料をユーザーにポイントとして還元する仕組みですが、「モバトク通帳」の場合、広告主からの広告料100%のうち、ユーザーに50~60%を還元し、残りを運営サイト側がいただいています。つまり、広告をクリックすることで60円分のポイントを受け取ることができますが、悪質サイトでは、3円分とか5円分のポイントしか受け取ることができないように設定されています。

入会時に5,000円分のポイントをもらっても、その後サイトを利用して支払われるポイントが1件につき3円分や5円分となれば、現金と交換できる必要最低限のポイントまでためるのは至難の技です。そもそも、残りのポイント数を稼げるだけの広告が用意されていない場合もあり、結局、ユーザーは挫折してしまうことになります。

--ポイントをためている途中で挫折してしまうとどうなりますか。

当然、規定のポイントまで達していないので、現金又は電子マネーなどへの交換できません。しかし、悪質サイトとしては、ユーザーが途中でやめてくれれば現金を支払わなくてすんで、広告主からの広告料をすべて丸もうけできます。このように、ユーザーに途中で挫折してもらうために、わざと現金と交換できる必要最低限のポイント数を高く設定しているのです。

○実在しない広告を掲載していることも

--他にはどのような事例がありますか。

例えば広告が10件用意されていて、10件の広告に登録すると1万円プレゼントしますというキャンペーンがあります。10件のうち、初めの5件くらいは無料の広告サイトで、6件目からが有料サイト、最後の1個が成果にならない広告になっています。

成果にならないというのは、たとえばそのサイトに入ってみると、どこにも登録の手続きをするフォームが見当たらないのです。ユーザーとしては、1万円もらえるならということでどんどん登録を進めていくのですが、最後の一つでコンプリートできない仕組みになっています。問い合せしても返答がないし、泣き寝入りするしかありません。悪質サイト側は、9件登録させることで、9件の広告主から広告料が入り、10件コンプリートしていないのでユーザーに還元する必要はないということです。

--見極める方法はありますか。

無料サイトで1万円を提供できるほど広告主は広告料を払わないので、広告を10件登録して1万円という報酬はあり得ません。無料アプリや無料サイトで得られる報酬の相場は、1件80円から100円ぐらいだと思っていた方がいいでしょう。

●悪質サイトの手口とは? どうしたら賢く貯められる?
--1件登録して80円から100円の相場にもかかわらず、10件登録して1万円というのはどう見ても高すぎますね。

条件付換金という例もあります。クリックポイントや友達紹介のポイントは貯めやすいのですが、例えば友達紹介1件で300円、10人の友達紹介で3,000円分のポイントが貯まったとします。それを換金しようと思ったら、換金するポイントのうち広告の利用のポイントが50%を超えていないとだめですと、換金する際に条件がついているサイトがあるのです。

友達紹介だけでは換金できないというのは、利用規約に記載されていたり、交換ぺージで記載されているというのですが、貯める段階ではわからない場合が多いので、結局は現金と交換するまで引き延ばしされます。

○時間や本来もらえるポイントを犠牲にしてしまう

--でも、一度そういう目に遭うとユーザーは利用しませんよね。

悪質サイト側は1人の人に長く利用してもらおうとは思っていなくて、途中であきらめてくれるか、こんなきつい条件でもやってくれるのならどうぞということでやっています。

--そういう悪質サイトは生き延びるのが大変ですよね。噂になったりしませんか。

そう思うのですが、やはりモバトク通帳は入会で50円分のポイントがもらえ、もう一つのサイトは入会で5,000円分のポイントがもらえるとなると、その5,000円分もらえるポイントサイトにユーザーは魅かれるので、結構生き延びていきます。

また、安心サポート24時間とか、勝手に安心マークをつくったり、リスティング広告なども積極的に行っているので、検索エンジンでも上位に来る場合があります。もちろん、そういう悪質サイトは口コミで広がったりするので、サイトを閉鎖して、また新しい名前で開いたりします。

--安心マークをつくったり、サイトを新たに開いたりする手間を考えたら、普通にポイントサイトを運営した方がいいと思うのですが。

やはり悪質サイトの方が利益率は高いので、一度味をしめてしまうと抜けきれないというのもあるのではないでしょうか。

--もし、悪質サイトを利用するとどんな不利益を被りますか。

悪質サイトを利用した時間がムダになりますし、優良サイトを利用していることで得られたポイント分を失っていることになります。また、悪質サイト経由で公式サイトに登録しポイント還元率が悪いからやめて、改めてたとえばモバトク通帳で先ほどの公式サイトに登録しようとしても、既に登録済ということで登録できなくなります。つまり、登録できる案件が制限されてしまうというリスクもあります。

○悪質サイトを見極める方法

--悪質サイトだと判断するチェック項目はありますか。

悪質サイトの多くの傾向としては、誇大広告が著しいことです。例えば、「100,000円今すぐGET」「1日5万円稼げる」「タダで魔法石1500個GET」など。世の中、甘い話には必ず裏があります。そしてタダより高いものはないという古くからの慣用句もあります。

また、ユーザーに広告を利用してもらうためには手段を選ばない印象があります。「メルマガを1日数十件送る」「嘘のキャンペーンを平気でする」「安心サイトマークなどを独自に作成してしまう」など…。ポイントサイトでポイントを貯めることは、銀行にお金を預けることと同等の価値があると考えて欲しいです。

--最後にユーザーが安心して利用できるサイトを見極める方法を教えください。

そのサイトが500円分のポイントから交換できるのか、1万円分じゃないと交換できないのかなど、交換ポイントを確認することです。優良サイトは、500円分とか1,000円分と低価格から交換できるので、「500円から交換できます」「1,000円から交換できます」と強く主張しています。逆に、悪質サイトは幾らから交換できるかはサイトを見てもすぐには確認することができません。

--やはり、交換可能ポイントが低いといつでも換金できると思うので安心できますね。

交換可能ポイントがいくらかをはっきりと明記することは必須項目なんですが、法律がないがゆえに不明慮になっています。ユーザーの皆さんには、そのポイントサイトがどんなサイトか、利用する前に注意する必要にしてください。

--ありがとうございました。

(金野和子)

ネタりかより引用しました。