XPから乗り換え 1万円台の中古パソコンが人気

マイクロソフトによるパソコン用基本ソフト(OS)「ウィンドウズXP」のサポート終了が2014年4月に迫っている。サポート終了後もXP搭載パソコンを使い続けると情報の漏洩やPCトラブルが発生する可能性などが指摘されており、パソコン市場ではこれを機にパソコンの買い替え特需が起きている。ただ、メールの送受信やワープロや表計算ソフトを軽く使う程度なら、最新のパソコンに買い替える必要を感じない人も多いはず。あまりお金をかけない買い替え法はないのだろうか。

■中小企業がまとめ買い

 中古市場は活況だ。中古パソコン販売大手のソフマップでは「11月の中古PCの販売台数は前年を1割上回っている」。店頭は平日の昼を中心に「複数のパソコンを一度に購入する中小企業の担当者が目立つ」(ソフマップ秋葉原リユース総合館=東京・千代田)と、店頭もにぎわっている。

 同店ではワープロなどの一般的な業務に使うのに支障がない程度の性能で、モニターが付属しないデスクトップパソコンなら1万円台後半の価格帯はよく売れているという。企業などで使う業務用なら特に安定して動く必要があり、中古の購入に抵抗を感じる人も多いようだ。ソフマップでは1カ月の保証を付けているうえ、これとは別にNECパーソナルコンピュータと提携しており、同社の中古パソコンには6カ月~1年のメーカー保証がつく。少しでも安心して使いたいというユーザーに好評という。

 

 また、そもそも「出どころのはっきりしない中古パソコンを使うのは不安」というユーザーもいるだろう。一般的な中古パソコンとは別にメーカーが初期不良で返品されたものを再整備したものや、レンタル・リースされていたパソコンを回収し、新たにセットアップしたものなどは「リファービッシュパソコン」と呼ばれ、販売されている。

 

 パソコンの回収や中古販売などを手掛けるアンカーネットワークサービス(東京・葛飾)ではこうしたリファービッシュパソコンをデータの移行・消去やセッティング、送料、3年保証といったサービス込みで3万8千円で販売している。同社では下取りも受け付けているので、不要なパソコンを持っていればここから、さらに値引きされた価格で購入できる。

同社が販売しているパソコンはCPUが米インテルのCore2Duoの1.85ギガヘルツ、メモリー2GB、OSはウィンドウズ7pro。最新のモデルに比べるとかなり見劣りするが「一般的な事務作業などをするには事足りる」(同社)。より高い性能が必要であれば、追加料金を支払えば上位モデルを購入することも可能だ。

■新品の半額が目安?

 

 新品のパソコンを購入するときとの単純な比較は難しいが、3万8千円という価格は「現行の普及モデルを新品で購入するときの半額を念頭に置いた」(同)設定だ。1台から購入可能なので、企業など法人だけでなく個人でも同サービスを利用できる。

 

 リファービッシュ含め中古PCは計画的に生産されたものではないだけに、同時に複数台購入する際にはメーカーや型番などが不ぞろいになる。

 

 調査会社のMM総研(東京・港)によると今年4~9月の国内パソコン出荷台数は前年同期比8%減の691万台。足元では盛り返しているものの不振が続いている。販路別でみると、個人向けが3割減と大幅に落ち込んだ一方、法人向けは14%増と対照的。XP更新需要が主に法人市場を押し上げているようだ。

 

 業務用であれば今回紹介したような中古PCをうまく利用することでコストを抑制した買い替えが可能だ。個人のライトユーザーであれば1万円台後半から販売されているタブレット(多機能携帯端末)へと移行するのも一考だ。タブレットでもキーボード付きなどパソコンとタブレットの長所を合わせたモデルも多数販売されており、自身の必要に応じた商品選びができるようになっている。

 

(商品部 佐藤洋輔)

日本経済新聞より引用しました。