飲酒や薬物運転事故、罰則強化の新法成立 最高懲役15年

酒や薬物などの影響で交通事故を起こした場合の罰則を強化した「自動車運転死傷行為処罰法」が、20日の参院本会議で全会一致により可決、成立した。最高刑を懲役15年とし、発作を伴う病気の影響による事故も対象とした。来年5月までに施行する。

 現行の危険運転致死傷罪(最高刑・懲役20年)は対象を「正常な運転が困難な状態」に限定しており、立証のハードルが高い。このため自動車運転過失致死傷罪(同・懲役7年)の適用が多く、量刑の差がありすぎるとして被害者遺族が見直しを求めていた。

 新法は、刑法から自動車事故に関連する規定を分離。従来の危険運転致死傷罪の適用要件に「通行禁止道路の高速走行」を加えた上で、自動車運転過失致死傷罪との中間に当たる類型の罪を新設した。

 新類型では、飲酒や薬物摂取、特定の病気により「正常な運転に支障が生じる恐れがある状態で運転し、人を死傷させた」ことが適用要件となる。死亡事故で15年以下、負傷事故で12年以下の懲役とした。「特定の病気」として、てんかん統合失調症などを政令で定める。

 飲酒運転で人身事故を起こし、飲酒の発覚を免れるため事故後に酒を飲んでごまかしたり、逃走したりするケースを12年以下の懲役とする罪も新設した。無免許で人身事故を起こした場合は罰則を重くする内容も盛り込んだ。

 これまでの自動車運転過失致死傷罪は「過失運転致死傷罪」に名称が変わる。

 無免許運転に関し、被害者遺族は危険運転致死傷罪の適用対象とするよう求めていたが、認定が困難として見送られた。〔共同〕

日本経済新聞より引用しました。