カフェにいる「感じの悪い客」は必ずしも非常識ではない

あるカフェにて。店内はほぼ満席で、係の人が「お席は大丈夫ですか?」とレジに並んでいる人に声をかけています。そんな中、ある男性と係の店員さんとのやり取りです。

係 :「お席のご準備は大丈夫ですか?」

男性:「…(無言)」

係 :「店内をご利用でしたら、お求めの前にお席をご確認下さい」

男性:「どうしろって言うの?」

係 :「一時的にお荷物など置いて、お席を確保して頂ければ…」

男性:「荷物なんか置いて盗られたらどうするの!」

店 :「ただ、皆さまそのようになさっていますが…」

男性:「そんなことして荷物盗られたらどうするの!」

店 :「…失礼しました。ではそのままお並び下さい……。(ちょっと不満げ)」

私はこのやりとりを見ていて、初めは男性のことを「感じワルッ!」と思ったのですが、よくよく考えてみると「荷物盗られたらどうするんだ!」には確かに一理あります。海外のお店だったらきっと「荷物で場所取りを」なんていわないでしょう。

このやり取りで、何がまずかったのか考えてみました。まず男性は、言葉が責め口調で確実に感じが悪かったと思います。言われたことに不満を示し、否定、拒絶するばかりでした。

次に係の店員さんですが、提案が一方的でなおかつ選択肢は一つだけ、受け入れるか拒絶するかのどちらかしかありませんでした。後から冷静に考えれば、男性が素直にどこかの席を確保して、係の店員さんがそこに“リザーブ”の札でも立てておけば、それでよかっただけの話ではないかと思いました。

実は私、こんな光景どこかで見たような気がしていて、それは男性が“なかなか納得しない頑固な上司”、係の人が“提案はしてきても中身に思慮が足りない部下”というイメージでした。

こういう場合、上司の側は部下から「人の提案を否定するばかりで、自分で建設的なことは何一つ言わない」などと批判され、部下の側は上司から「考えが浅いし、選択肢は示せないし、とても認められる提案ではない」などと言われます。

でもこれはやっぱり「どっちもどっち」だと思います。上司は部下から良い提案を引き出すように指導すべきだし、部下は上司の信頼を得られるようにマメにコミュニケーションを取り、もっといろいろな指摘を受けられるように振る舞うべきです。人間関係の最後はやっぱり“お互い様”です。

カフェで見かけたこのやり取りも、お互いにちょっと工夫すれば、こんな気まずい感じにならずに済んだのだろうと思います。

(ユニティ・サポート小笠原隆夫)

文・All About News Dig編集部(All About )

ネタりかより引用しました。