芥川賞に藤野可織さん 直木賞は桜木紫乃さん

 第149回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が17日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞藤野可織さん(33)の「爪と目」(「新潮」4月号)に、直木賞は桜木紫乃さん(48)の「ホテルローヤル」(集英社)に決まった。

 芥川賞の藤野さんは京都市生まれ。同志社大大学院の修士課程修了後、出版社アルバイトを経て、平成18年「いやしい鳥」で文学界新人賞を受賞しデビュー。2度目の候補で受賞を決めた。受賞作は、父の恋人の行動と心情を3歳の娘の視点でつづった二人称小説。平凡の中に潜むゆがんだ日常を淡々と描いている。

 芥川賞選考委員の島田雅彦さん(52)は「『あなた』という二人称が功を奏し、作中に強烈な自己批評が含まれている。技巧も巧みで、出色の出来だ」と高く評価した。

 直木賞の桜木さんは北海道出身。高校卒業後、裁判所勤務を経て専業主婦となり、19年にデビュー。昨年の「ラブレス」に続き、今回が2度目の候補だった。受賞作は、北国のラブホテルを舞台にした連作短編集。恋人から投稿ヌード写真撮影に誘われた女性、働かない年下の夫を持つ清掃係の女性ら、それぞれの人生のひとこまを鮮烈につづっている。

 直木賞選考委員の阿刀田高さん(78)は「決して豊かでない人たちの喜びや悲しみが、非常に良い文章ときちんとしたストーリーで表現されている。受賞は当然」と絶賛した。

 贈呈式は8月下旬、東京都内で開かれる。賞金は各100万円。

産経ニュースよりいんようしました。