「鬼平犯科帳」の世界を堪能できるパーキングエリア

「火付け盗賊改方、長谷川平蔵である。おとなしく縛につけ」。歴史小説や時代劇が好きならば、思わずうなる決めぜりふ。いうまでもなく、故・池波正太郎氏の時代小説「鬼平犯科帳」での一節だ。

 なんと、東北自動車道羽生パーキングエリア(上り線)が、この「鬼平犯科帳」の世界観を中心に江戸をテーマとした新しい施設へとリニューアルされるとのこと。新しい施設の愛称は「鬼平江戸処(おにへいえどどころ)」。

 温故知新をコンセプトに、現代日本人が忘れかけている「心のふるさと」というべき江戸の世界観を、時代考証に基づいた街並みや建物の意匠などのハード面、飲食やサービスなどのソフト面の両面で表現するのだとか。

 鬼平こと長谷川平蔵宣以(のぶため)が生まれたのは1745年。江戸の町人文化が花開いた、いわゆる文化文政時代(1804~1829年)だ。この当時の江戸を表現するため、建物から小物類に至るまで、民俗学者の神崎宣武(かんざき・のりたけ)氏が監修するという力の入れよう。

 火災から避難しやすいように通り抜けが可能な一直線の軒揃え、当時の染色技術に基づくのれんの色合いや、技法・デザインにこだわった看板や瓦、江戸の繁栄を象徴する豪華な日本橋大店が建ち並ぶ大通りなど、江戸の街並みを忠実に再現する。

 しかも、建物内には「鬼平犯科帳」に登場する「弥勒寺山門」「笹や」「植半」「五鉄(ごてつ)」など、鬼平が闊歩(かっぽ)した下町、本所・深川が出現する予定。鬼平犯科帳ファンにはたまらない仕掛けだ。

 食事所には、江戸時代から続く老舗や江戸の味を守り続ける名店が出店。文化2年(1805年)創業の“元祖くず餅の店”として知られる老舗「船橋屋」や宝暦10年(1760年)創業で親子丼の元祖ともいわれる「玉ひで」は、高速道路初出店となる。

 ちなみに玉ひでは、「鬼平犯科帳」で平蔵や密偵たちのなじみにしている軍鶏料理屋「五鉄」のモデルといわれる老舗。作中で軍鶏鍋をつつくシーンは定番なのでご存じの方も多いだろう。玉ひでは「鬼平江戸処」限定のオリジナルメニューを開発中とのことだが、鬼平が愛した軍鶏鍋が振る舞われるのを密かに願うばかりである。(記事提供 カーセンサー.net)

 

産経ニュースより引用しました。