任天堂「ファミコン」発売30周年 交流ゲーム急伸、正念場

任天堂の家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータファミコン)」は、15日で発売から30周年を迎える。世界の累計販売台数は6千万台以上。国内ではほぼ2世帯に1台の割合でテレビゲームを普及させた産業界の“金字塔”だ。しかし近年は、スマートフォン(高機能携帯電話)向けソーシャルゲームに押され、苦境にある。30年の節目で、任天堂が多様化するゲーム市場で生き残るには、抜本的な改革が急務だ。

 「リストラをした方がよいのではないか」

 今年6月に開かれた任天堂の株主総会。ある株主は語気を荒らげて岩田聡社長らに迫った。ゲームファンが多く、業績よりもゲームの新作などへの質問が多いと評された総会は、2年連続の巨額赤字で一変した。「同社で株主がリストラを迫るのは異例だ」と関係者はいう。

 昭和58年のファミコン発売以降、任天堂の業績は右肩上がりで成長を続けた。「スーパーマリオブラザーズ」や「ドラゴンクエスト」など多くの人気ソフトを生み、家庭用ゲーム機市場をほぼ独占した。後にソニーや米マイクロソフトが参入し、家庭用ゲーム機のシェア争いは激化したが、パイオニアとして任天堂の地歩は揺るがなかった。

 だが、ファミコン誕生から30年がたち、任天堂は苦境に陥っている。「『家庭用ゲーム機』=『任天堂などのゲーム専用機』」という図式が、スマートフォンやタブレット端末で遊ぶソーシャルゲームに崩されたためだ。

 新興ソフト会社「ガンホー・オンライン・エンターテイメント」のスマホ向けゲーム「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」はダウンロード(DL)数が、サービス開始から1年4カ月超で累計1600万件を突破。ガンホー時価総額は一時、任天堂を上回った。

 ゲーム雑誌出版のエンターブレインによると、オンラインゲームの24年の国内市場規模は4943億円と、15年比で10倍に成長し、家庭用ゲーム機市場(4834億円)を抜いた。昨年発売した任天堂の家庭用ゲーム機「WiiU(ウィー・ユー)」の販売不振はその象徴だ。

 家庭用ゲーム機の事業モデルは大きな転換点にあるが、「スマホゲームとの立場を逆転するきっかけが見えない」(証券アナリスト)との指摘も根強く、復活への道はまだ見えない。

yahooニュースより引用しました。