<大雪>13都県で8000人孤立 自治体「想定外」

14日からの記録的大雪により、各地の交通はまひし、集落の孤立や車の立ち往生が相次いだ。施設の屋根は次々に崩落。国や自治体などの雪に対する防災の考え方は根底から見直さざるをえない状況だ。被害はなぜ広がったのか。

毎日新聞の17日午後4時半までのまとめでは、道路の除雪が追いつかなかったことなどにより、全国の13都県で少なくとも6057世帯7951人が孤立した。大雪が気象庁の予想を上回ったことに加え、元々豪雪地帯ではない地域が豪雪に見舞われ、自治体の対応が後手に回ったことが影響したとみられる。各自治体は自衛隊に派遣要請したり、職員が手作業で除雪に当たったりしているが、孤立状態解消の見通しが立たない地域も多い。

 「県は陸の孤島になっている」。横内正明山梨県知事は17日、国の調査団にこう述べ、支援を求めた。中央道、国道20号、52号と、県内外を結ぶ幹線道路は軒並み通行止めとなっている。15日には甲府市で120年前の統計開始以来最大積雪を記録したが、県が災害対策本部を設置したのは17日と遅かった。早川町で665世帯が孤立し、県は業者に重機での除雪を依頼したが、町内にはかき集めても数台しかなく、結局自衛隊災害派遣を要請した。

 埼玉県秩父市は保有する除雪車が1台だけで、これまで同様、建設・土木48業者に除雪を依頼。担当者は「土砂災害などによる孤立集落はこれまでもあったが、雪でこうなるとは予想しなかった」と漏らす。

 相模原市では325世帯が遅くとも15日未明から、山梨などとの県境地区で孤立状態となり一部では停電も発生。しかし市危機管理局は「救助要請がなかった」などとして世帯数などの把握が遅れた。

 駐車車両が除雪車の妨げになった例も多いとして、行政機関による「強制撤去」を可能にする法改正を政府が検討するなど、波紋は広がっている。

 一方、豪雪地帯の山形市でも15日午前、スキー客でにぎわう蔵王温泉など3地区で孤立集落ができた。市広報課によると、蔵王温泉観光協会などが自発的にスキー客をホテルなどに誘導。その後、雪で閉ざされた県道で、観光協会蔵王ロープウェイの職員が総出で雪かきにあたり、いずれも16日中に孤立を解消した。同市では観光協会などと防災協定などは結んでいないが、「普段から大雪対策は当然のこととして行っている。都市部とは備えが違うと思う」と話した。

 防災科学技術研究所雪氷防災研究センター(新潟県長岡市)の上石勲センター長は「今回これだけ孤立集落や立ち往生が発生したのは想定外の大雪が降ったことが要因。さらに重機による除雪作業は経験が必要で、雪に不慣れな地域では時間を要する」と指摘する。【酒井祥宏、一條優太】

 

yahooニュースより引用しました。