「基地移転許さない」稲嶺氏再選、情勢混迷も

沖縄県の米軍普天間基地宜野湾市)の移設が最大の争点となった19日の名護市長選。移設反対派で現職の稲嶺進氏(68)は「基地は絶対許さない」と力強く勝利を宣言した。仲井真弘多知事の辺野古埋め立て承認を基に移設を進めようとする政府・自民党の計画にとっては打撃。推進・阻止に割れた市民の間には失望と安堵が交錯した。

 再選を決めた稲嶺氏が選挙事務所に姿を現したのは午後9時半すぎ。集まった約200人の支援者らと万歳三唱を繰り返して喜びを爆発させ、スタッフから花束を受け取った際には満面の笑みをみせた。

 「基地の辺野古移設は絶対に許さない。それが名護市民、沖縄県民の総意だ」と呼びかけると、会場からは拍手と歓声が湧き起こった。

 国が移設に向けた協議を打診してきた場合、「埋め立て前提の協議は全て断る。私は名護市民の財産や安全を守る責任がある」と強調。選挙戦では米軍再編交付金など国の支援に頼らないまちづくりを主張しており、この日も「市民自らが立ち上がり、汗をかいて誇りのある名護市をつくる」と晴れやかな表情で宣言した。

 会場では再選が伝わった瞬間、支援者が「やったぞ」と、手を取り合って涙ぐむ姿も見られた。60代の無職の男性は「市民は前回の市長選に続いて基地反対の民意を示した。国は地元の訴えに耳を傾けるべきだ」と語気を強めた。

 

日本経済新聞より引用しました。