楽天、ネット通販すべて自社決済 不正に迅速対応

 楽天は来年2月から仮想商店街楽天市場」の代金決済を全て自社で引き受ける。代金を振り込んだのに商品が届かないといったトラブルにも責任をもって対応する。楽天が自ら決済窓口となることで顧客ニーズにより密着した商品やサービスが提供できるようになる。顧客と直接売買する米アマゾン・ドット・コムなどとの顧客囲い込み競争が激しくなりそうだ。

楽天市場の年間取引総額(1.5兆円規模)の3割程度は利用者と出店者が個別に決済している。今後は傘下の楽天銀行が全ての代金決済を手掛ける。売買トラブルが起きた際、楽天が対応する仕組みに改めて出店者との交渉や返金などにも応じる。偽サイトや振り込み詐欺などを防ぎ、顧客が安心して取引できるようにする。

 利用者は引き続き楽天カード以外のクレジットカードなどでも買い物ができる。新しい仕組みでは複数の店舗で物品を買う場合も支払いが1回で済むように改良、利便性を高める。「商店街」方式の楽天では異なる店舗を使う際、各店舗の取り扱いカードや振込先の銀行口座がバラバラだった。どの商品を買っても1回の支払いで済むアマゾンと同じやり方にする。

 

 楽天は今回の仕組みを、同社が展開する国内外の電子商取引(EC)サイトにも活用する。顧客の購買履歴を得ることで旅行商品や保険など様々な商品・サービスの販売につなげる。アマゾンやECと電子決済「ペイパル」の両分野で事業を拡大する米イーベイなどに対抗する。

 

 将来はヤフーなど競合他社にも参加を呼び掛ける。楽天銀行や楽天カード、電子マネーの「楽天Edy」の利用拡大を狙い、金融部門の収益増も目指す。

 

 2012年の世界のEC市場は1兆429億ドル(約108兆円)。16年には1兆8597億ドル(約193兆円)に伸びるとみられる(米調査会社イーマーケッター調べ)。市場拡大とともに詐欺や物品の未着など様々な問題が浮上。決済の安全性や信頼性の確保はEC市場の成長にとって、大きな課題となっている。

日本経済新聞より引用しました。