東証「夜間取引」に渦巻く賛否…大手証券×ネット証券 焦点は取引量

東京証券取引所が開設を検討している夜間取引市場をめぐり、証券会社間の考え方の違いが鮮明になっている。ネット証券大手の松井証券が開設を求める要望書を東証に提出する一方で、店舗を持つ対面型の大手、大和証券グループ本社の日比野隆司社長は否定的な見解を示す。東証は平成22年にも夜間取引を検討したことがあるが、関係者の反対で見送った経緯があり、今後の判断が改めて注目されている。

 東証を傘下に持つ日本取引所グループは中期経営計画に、夜間市場整備について25年度に検討を本格化すると明記した。「参加者の多様化によるマーケットの活性化」が狙いだ。これを受け、機関投資家や証券会社からの意見の聞き取りに着手した。

 夜間の取引時間帯には複数案があるが、日中取引が終わる午後3時の直後か夕方に始め、午後11時ごろまでを軸に検討しているようだ。来年決定すれば27年の開設も視野に入るが、日本取引所の斉藤惇最高経営責任者(CEO)は「丁寧に検討を進める必要があり、結果を示す時期が申し上げられない」と、長期化の可能性を指摘する。

 今月、松井証券が提出した要望書は「日中に取引を行うことができなかった個人の取引機会を拡大するものとして、広く受け入れられる可能性が高い」と主張。同社が約1万8千人から回答を得たアンケートでは、約8割が利用を希望したという。

 同じくネット証券大手の楽天証券も先月、アンケートを実施し、約4千人のうち、9割近くが夜間の取引に前向きだったという。

これに対し、対面型の証券会社は反対姿勢だ。店舗の営業時間延長などで、人件費やシステム投資などのコストが大きく膨らむ懸念があるためとみられる。店舗を持たないネット証券が、コールセンターの時間延長など比較的手軽な対応で済むのとは対照的だ。大和の日比野社長は先月の説明会で夜間市場について「切迫したニーズも必然性もない。慎重に検討してほしい」と強調した。

 今後の検討で焦点となりそうなのは、実施した場合、どの程度利用されるかという見通しだ。野村総合研究所の大崎貞和主席研究員は「海外の市場でも、夜間取引が活発に行われている例はないようだ。開設しても、情報が不足したり、売買が成立しにくい状況になったりすれば、投資家が不利な条件を押しつけられかねない」と指摘している。

msn産経ニュースより引用しました。

【まめちしき】

「夜間取引」にはどんな利点があるの?

Q 株式の夜間取引ってどういうこと?

 A 今は午前9時から午後3時まで行われている証券取引所での株式の売り買いが終わった後の夜にも売り買いできるようにすることだよ。

 Q いいことがあるの?

 A 働いていて、昼間は取引できないサラリーマンが、家に帰ってからもインターネットで取引できるようになる。日本時間の夜が昼に当たる外国の投資家にとっても、取引しやすくなるよ。

 Q いいことだったらすぐに始めれば?

 A いろんな費用がかかるとか、困ることもあるんだ。株式を売ったり買ったりするときの窓口になる証券会社は、お店を開けている時間を長くすると、お店で働く社員に払う給料も多くなって困るよ。コンピューターとかの仕組みを変えるお金もかかりそうなんだ。

msn産経ニュースより引用しました。